春めき出した
夜のことでした
彷徨いこんだのね
暗闇の只中に一人きり
楽しいことなんてなんもないと思ってたわ
けれど
きみがあらわれた
どくどくしている
胸が侵されていく
暖かい風が腐らせてゆく
早く
おにさん、手のなる方へ
咲いた仙人掌の花
前夜、わたしの夢を見たよね
だからそうだよね
ね
このままで居たいって、え
このままじゃ痛いってえ
きみのことを想うと
胸のとこが浅く、細くなった
おにさん、手のなる方へ
おいで下さいね
あのときわたしになにがあったかで
逢えなくなってしまった
一生
蒔いた
水やりすぎた
不快な土を探した
悪い子でごめんって謝りもした
ふざけているのは世界じゃない、わたし
早く、ねえ
おにさん、手のなる方へ
咲いた仙人掌の花
前夜、わたしの夢に出たよね
だから、両想いだ
だ
もうすぐほら夜が明ける
鐘が知らせる
だからもう終わりなんだよ
善よ急げ、手のなる方へ!
裏
那由多の眼
捕まっちゃった♩